金沢アートグミグループ展
手のなかのミクロコスモス
工芸との比較から、金沢における現代美術の方向性のひとつを覗き見る。
作品は、ある世界の物語を内包している。
作家が日常に切り込んで見えてくる、さまざまな小宇宙。
あなたはその世界に共感するかもしれない、
楽しくなるかもしれない、泣きたくなるかもしれない。
物事を徹底的に分解していくと
ふいに「部分」の概念は取り払われ、宇宙的な「全体」が見えてくる。
「原子はエネルギーの充満した一宇宙を構成しており、
その体系内では、太陽にも似た中心体の周囲を多くの天体が自転公転し、
たくさんの彗星が、中心体の引力によって外心的軌内に引き止められながら、
光年的速度でその天空を飛び違っている。
ー中略ー
月光に青白く漂っている無数の集団と群像の大宇宙をなしている星の世界は、
自然の深奥に存在する原子の中に、最も広大に反映しながら反復されているのである。」
────トマス・マン 『魔の山』 (高橋義孝訳/新潮社)
物語は地下深くの水脈でつながり、
細かな網目のようなそれらは
曲がりくねり、出口を探しながら
ゆるやかに、ひとつに結びついている。
金沢にひっそりと、しかし確かに存在する「層」を感じて欲しい。
期間
2010年1月9日(土)~1月31日(日)
会場
金沢アートグミギャラリー(近江町市場横、北國銀行武蔵ヶ辻支店3階)
入場無料 10:00~18:00 水曜定休
参加作家
伊藤幸久、伊能一三、小島ゆかり、下出和美、長原めぐみ、宮永春香
参加アーティストに、展覧会に寄せてインタビューを行いました。