各地に点在するオルタナティブスペースを繋げるネットワークプロジェクト:CUT&PASTE(*1)は、2023年度の協力企画として、アーティスト:吉川永祐氏の個展「3rdEye4Head」が石黒ビル(*2)にて開催されます。
金沢アートグミの主催で実施される本個展は、CUT&PASTEのネットワークを通じて実施された瀬戸市での滞在制作を通じて実験された新作と、旧作品群によって展示が構成されます。プロジェクトを通じた移動の体験が、吉川氏の新たな変容可能性のひとつとなることを期待しながら、金沢から発信される若手アーティストの活動にぜひご注目下さい。会期中には、吉川氏の活動を知り、同じく身体をモチーフとして活動するアーティストとのオープニング・トークや、アーティストによる作品解説トークも実施されます。併せてご参加頂けますと幸いです。
(*1) CUT&PASTEは、各地に点在するオルタナティブの団体・機関を結び、ネットワークを作り出すことで、新たな創造を促すプラットフォームとして、交流をベースとした相互派遣プログラムや協働、同時に学びの場を併走しながら、流動的、可変的にプロジェクトを立ち上げ、アート・ロジスティクスの実現を目指すものです。
(*2) 建築家:武田五一が設計した近代建築で、建物とまちのこれからを考える試みとして、展覧会など様々な企画を行う実験的な場を提供しています。
本展は、「先端恐怖症」を重要なキーワードに展開されます。吉川氏は尖ったものを向けられると嫌悪感を感じたり、それまで気にしていなかった景色の中に突然先端を見出し恐怖感を覚えるといった身体感覚を持ちます。本展では本人の生活にとってはネガティブな身体感覚が、作品制作においては対象の無数にある可能性に触れようとする、むしろ歓迎するものではないかという気づきから制作、再解釈が行われた作品群によって構成されます。
吉川永祐 Kikkawa Eisuke
1997年島根県生まれ。
金沢美術工芸大学大学院修士課程絵画専攻油画コースを修了。
主に、モチーフに選択した対象と自身の身体を類似によって結びつけて考案したパフォーマンスを撮影した映像作品を制作している。あらゆる対象の在り方は、立場、時代、状況によって不安定に変化するものであるように考え、作品を制作することを通して、そういった対象の変容可能性に注意を向け、認識を整理しつつ、映像の撮影、編集、設営というプロセスを通して自分なりの統合を行うことで、自分自身のあらゆる対象、世界との関わり方を模索している。
主な展覧会に、「霧の向こうから石が」(2022年、ギャラリー無量/富山)、「何かを忘れているような気がする。」(2022年、金沢市民芸術村)、「内灘闘争 風と砂の記憶」(2022年、内灘歴史民俗資料館/石川)、「ストレンジャーによろしく」(2021年、金沢市各所)、「金沢アートスペースリンク アートフェア」(2020年、金沢アートグミ/石川)