金沢美術工芸大学・北國銀行連携事業 第8回コーポレートアート展
写真的曖昧
撮影 奥祐司
本展は100年前を生きた鳥取県のアマチュア写真家・西郷 北濤と、平成生まれの若手アーティスト3名による展覧会です。 大正時代の写真家たちを熱狂させた「芸術写真」(絵画主義 写真の意)という理念。これを鳥取県で初めて普及したのが 西郷北濤でした。まるで絵画のように淡く叙情的なその写真 は、ある種の美的価値を体現しつつも、1930年代において「写真の本来の姿ではない」とその価値を悉く否定されました。 本展はこの歴史的事実からスタートします。
曖昧なものを「よく・見る」ために、私たちは展覧会というしかたを採用します。絵画のような写真、写真として機能す る絵画、架空の記録写真、写真のために用意された現実。
「写真の本来の姿」から逸脱しながら、尚もって写真たろうとするイメージたち。掛け値無しに写真とは呼ばれないその いびつなさまを、ひとまず「写真的曖昧」と呼ぶことにしましょ う。写真的なものと非写真的なものの二重像、決して一点 に結像しない曖昧なイメージを覗き込むとき、何が見えてく るのでしょうか。
熟慮と困惑と逡巡をともなう認識のエクササイズをしましょう。 写真と非写真のあいだで。
参加作家:
石場文子 ISHIBA Ayako
木原結花 KIHARA Yuika
西郷北濤 SAIGO Hokuto
宮崎竜成 MIYAZAKI Ryusei
2018年 2月3日[ 土 ]〜 3月4日[ 土 ]
10:00〜 18:00
水曜休館/入場料無料
主催:金沢美術工芸大学、北國銀行
協力:認定NPO法人金沢アートグミ
企画:若山満大 WAKAYAMA Mitsuhiro
http://www.blurinphoto.com
本展オフィシャルサイトは、2月16日(金)から「展覧会カタログ」になります。作品や会場の写真はもちろん、論考や解説、ガイドムービーなど本展の情報がすべて公開されます。Webサイトをカタログに。本展は、新しいアーカイブのかたちを試みます。
関連イベント:
2.3 Sat 18:30〜
オープニングイベント
参加無料
本展キュレーターの若山氏による解説や参加アーティストのトークを行います。
2.10 Sat 18:00-19:30
Lecture
「趣味と戦争の写真史: クロニクル・日本のアマチュア写真 1913 – 1945」
登壇者:若山満大 本展キュレーター
参加費:1,000円
大正から昭和にかけて、市井の写真文化はどのように変化したのか。アマチュアの趣味から報国の 手段へ。写真の変位にまつわる社会史をご紹介します。
2.24 Sat 18:00-19:30
Curatorial Conversation
「キュレーターの曖昧な自己 登壇者:長谷川新 × 若山満大」
参加費:1,000円
インディペンデントキュレーターの長谷川さんと「展覧会」について話します。それぞれの実践をふりかえりながら、社会を巻き込む/社会に巻き込まれる技法について考えます。
参加作家:
石場文子 ISHIBA Ayako
1991年兵庫県生まれ。愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画・版画領域修了(2016年)。主な個展として「2.5」(2017年、KUNST ARZT、京都市)、 「しかく–Square / Sight / Blind spot–」(2015年、KUNST ARZT)、「house」 (2013年、KUNST ARZT)などがある。主なグループ展として「アワーモデルルーム」(2017年、愛知県立芸術大学サテライトギャラリー、名古屋市)、「見えないものをみる力」(2016年、市民ギャラリー矢田、名古屋市)などがある。
木原結花 KIHARA Yuika
1995年大阪府生まれ。大阪芸術大学大学院芸術研究科前期課程在籍。主なグループ展に「A-Lab Artist Gate 2017」(2017年、A-Lab、尼崎市)、 「 1 _ w a l l 」( 2016 年 、ガーディアンガーデン、東京 )。 第15回 「 1 _ w a l l 」 ファイナリスト。
西郷北濤 SAIGO Hokuto
1885( 明治18)年 鳥取県生まれ。本名・金居乙恵。1905( 明治38 )年 近 衛歩兵第二連隊に入営。除隊後、山県長太郎に師事して写真術を習得 する。1909(明治42)年鳥取市本町に写真材料商・金居商店を創業。1913年6月より鳥取市内のアマチュア写真家を組織して撮影会を開催する。1919(大正8)年にアマチュア写真団体「光影倶楽部」を結成。1925(大正14)年まで機関紙『光影』を発行する。
宮崎竜成 MIYAZAKI Ryusei
1996年京都府生まれ。金沢美術工芸大学美術科油画専攻在籍。個展と して「僕の知っている、知らない場所。」(2017年、ルンパルンパ、石川県野々市市)。主なグループ展として「FACE展 2017」(2017年、損保ジャパン日本 興亜美術館、東京)、「まだ帰りたくない」(2016年、ギャラリー知、京都市)、「シェル美術賞展 2015」(2015年、国立新美術館、東京)などがある。「FACE展 2017」入選、「シェル美術賞 2015」入選。